広告の価格は、家づくりの入口の数字です。 安く見える理由と、あとから足される費用を、見積もりを頼む前に知っておきましょう。 下の表や数字は、会社の順位やおすすめを示すものではありません。
浜松の工務店は、価格をどう公表している?
示し方は会社ごとにばらばらで、坪単価を出す会社は少数です。 掲載している17社の公式サイトを調べると、坪単価の数字があったのは1社でした。 ほかは、広さ別の目安やプランごとの価格で示すか、調べたページに価格がありませんでした。
| 会社 | 公式の価格の示し方 | 別途と書かれた費用 |
|---|---|---|
| 花みずき工房 | 坪単価・プラン価格 | 参考例では付帯・外構等 |
| TENアーキテクツ | 広さ別の予算の目安 | 外構・カーテン・エアコン |
| コットンハウス | 広さと価格の例 | 記載なし |
| パパまるハウス | プランごとの本体価格 | 記載なし |
| 大得 | 広さ別の本体価格 | 地盤改良・屋外給排水など |
価格の数字が見つかった会社だけを、掲載の順に並べました。 ほかの会社と、各社の読んだページは浜松の坪単価比較にまとめています。
花みずき工房は、完全注文住宅で坪70万〜100万円くらいと書いています。 その坪単価の説明には、税込か税別か、どの工事を含むかが書かれていません。 一方、平屋の参考例では付帯工事・照明・カーテン・外構を本体と別に表示し、家具・家電は別途と案内しています。 坪単価と個別のプラン価格は、含む範囲を分けて読んでください。
TENアーキテクツは、施工床面積40坪前後(30坪前後)のコンパクトな3LDKで2,800万円(税別)のように広さ別の予算を示しています。 この目安は広さ別の目安は、設計料・施工費・諸経費を含めた予算(税別)です。 一方で、表示価格は税別で、外構工事・カーテン・エアコンは含まないとも書いています。 同じページには、坪単価は算出方法が会社で異なり、含まれない費用も必ず出るという説明もあります。
コットンハウスの公式トップには、21坪・税込1,700万円〜の価格例があります。 同じページでは、商品のS CUBOを家の大きさ(施工面積)で建物本体価格が決まるセミオーダー住宅と説明しています。
パパまるハウスは、延べ床30.81坪のプランで建物本体価格1,529万円(税込)のように、プランごとに価格を出しています。 同じページに、付帯工事や諸費用を含むかの記載はありません。
大得は、DAITOKU Boxの価格目安を21坪の建物本体価格1,554万円(税込1,709万円)と示しています。 標準仕様のページには、別途かかる費用が書かれています。
価格の数字を出していない会社を「高い会社」と決めつけないでください。 価格の数字がある会社も、そのまま並べて安い順に選ぶことはできません。 含む工事・税込か税別か・割る面積が、会社ごとに違うからです。
ローコスト住宅は、なぜ安くできる?
安さには2つの種類があります。 1つは、形・間取り・仕様をあらかじめ決めて、設計と仕入れの手間を減らす安さです。 もう1つは、本体価格に入れる工事を減らして、表示を下げているだけの安さです。 どちらの安さかで、総額の結果が変わります。
総額まで下がる安さ
- 凹凸の少ない形で、外壁や屋根の面積が減る
- 間取りや設備の選び方を絞り、図面と部材の手間が減る
- 決まった仕様をくり返し、仕入れをまとめる
表示だけ下がる安さ
- 地盤改良や屋外の配管を本体価格から外す
- 最低限の設備で価格を出し、希望の設備は追加にする
- 割る面積を広く取り、坪単価を小さく見せる
形を決めて安くする考え方は、公式サイトにも表れています。 大得の標準仕様には、総2階が基本で、下屋などが出る間取りはオプション費用とあります。 コットンハウスも、S CUBOを家の大きさ(施工面積)で建物本体価格が決まるセミオーダー住宅と説明しています。
決まった形や間取りのまま建てられるなら、この安さを生かせます。 間取りを大きく変えたい・設備を上げたいなら、追加の金額を入れた見積もりで比べてください。 変更が多いほど、規格型の価格の差は小さくなります。
本体価格の外に、何が残っている?
地盤改良、屋外の給排水、申請の費用などが、別に請求されることがあります。 大得の標準仕様のページには、次のように書かれています。
- 地盤改良工事が必要なら別途工事費
- 敷地に合わせた屋外給排水の工事費は別途
- 長期優良住宅の認定には別途申請費用
別途の項目が書かれていれば、その見積もりを足して総額を比べられます。 困るのは、何が入っていないかが書かれていない価格です。 その場合は、本体に入る工事と入らない工事を、見積書に分けて書いてもらいます。
工事の中身と浜松市の水道加入金は付帯工事の費用に載せています。 登記やローンの手数料など工事以外のお金は、注文住宅の諸費用で足します。 見積書で同じ項目が二重に計上されていないかも確かめます。
見積もりを総額で比べると、差はいくら?
本体価格の差より、総額の差のほうが小さくなることがあります。 ここからは計算の例です。
同じ広さの家で、次の見積もりを比べると仮定します。
- 案A:本体価格1,580万円、付帯工事310万円、諸費用190万円(延べ床31坪・UA値の計算書なし)
- 案B:本体価格1,840万円、付帯工事150万円、諸費用170万円(延べ床31坪・屋外給排水と地盤調査は本体に含む・UA値0.55の計算書あり)
- 案Aの総額(本体+付帯工事+諸費用)
- 2,080万円
- 案Bの総額(本体+付帯工事+諸費用)
- 2,160万円
※ 金額は税込の仮の値。土地代は入っていない
本体価格だけなら、差は260万円です。 本体価格を延べ床面積で割ると、案Aは約51.0万円/坪、案Bは約59.4万円/坪(本体価格÷延べ床)です。 広告の坪単価で見れば、案Aがかなり安く見えます。
ところが総額では、差は80万円まで縮みます。 案Bは、屋外給排水と地盤調査を本体価格に入れているからです。
性能の差も、お金に関わります。 県の補助を考えるなら、世帯・施工者・性能の条件をすべて確かめます。 交付が決まるまでは、補助を引いた価格で会社を選ばないでください。 案AはUA値の計算書がないため、補助の条件に届くかがまだ分かりません。
この場合は、案Aの作成者に、案Bと同じ範囲の工事で見積もりを出し直してもらいます。 UA値の計算書も、同時に頼みます。 どちらにするかは、条件をそろえた総額が出てから決めます。
性能の数字は、公表されている?
公表している会社が多いですが、数字がない会社もあります。 掲載会社の公式サイトで、UA値の数字があったのは13社、C値の数字があったのは12社でした。 どちらの数字も見つからなかったのは3社です。
UA値は、家から熱がどれだけ逃げやすいかを表す数字です。小さいほど断熱が良い家です。 C値は、家のすき間の量です。現場で専用の機械を使って測ります。
パパまるハウスの性能・設備のページには、「全棟気密測定」の見出しはあるが、C値・UA値の数字はない。 数字がないことは、性能が低いという意味ではありません。 ただ、比べる材料がないまま契約するのは避けます。
数字がない会社に頼むなら、自分の家のUA値の計算書と、気密測定をするかを聞きます。 「自分の家の計算結果と、測定費用を見積もりに書いてください」と頼みます。 会社が示す数字の種類(基準値・実例値など)の違いは、会社一覧の各社のページで確かめられます。
補助金の性能条件には、届きそう?
補助金は、性能の条件を満たさないと受けられません。 安い家で補助を当てにするなら、契約前に条件に届くかを確かめます。
| 補助 | 断熱の条件 | ほかの主な条件 |
|---|---|---|
| 静岡県の省エネ住宅補助 | UA値0.6W/㎡・K以下 | 省エネ20%以上の削減 |
| 国のGX志向型住宅 | 断熱等級6以上 | 省エネ・機器の条件 |
国の基準では、5〜7地域の等級6はUA値0.46以下です。 建築地がどの地域区分かは、設計者に計算書で示してもらいます。 例の案BのUA値なら、県の線には届きますが、断熱等級6の線には届きません。 同じ「省エネの家」でも、どの補助を狙うかで必要な性能が変わります。
県の補助は、施工する会社にも条件があります。 施工するのは、直近3年間の元請け新築戸数が年平均50戸未満の事業者に限られます。 住宅フランチャイズに加盟している事業者は除かれます。 候補の会社が当てはまるかは、会社に直接聞いてください。 また、県の補助は国・県の他の補助制度とは重複申請できません。
国のみらいエコ住宅2026は、予約が遅くとも2026年11月16日までです。 これから会社を選ぶなら、間に合わない前提で予算を組むほうが安全です。 県を使うなら、県の省エネ住宅補助で対象世帯と施工者の条件を確かめます。
間取りの自由さを最優先にしたい人は、規格型の安さを生かしにくくなります。 その場合は、ローコストかどうかで分けずに、同じ条件の総額で比べてください。
次にやること
- 会社一覧から候補を選び、本体・付帯工事・諸費用を分けた税込の総額見積もりを頼みます。
- 本体に入る工事と別途の工事を、会社ごとにそろえます。
- 補助を使いたいなら、自分の家のUA値の計算書を出してもらい、条件に届くかを確かめます。